英語劇ドットコム

シカ・マッケンジーによる英語劇・英語演技についてのブログ

2012年度四大学英語劇大会(1)

5大学4団体が英語で演じる舞台劇の腕を競う"四大学英語劇大会"にお邪魔してきました。この大会、かなり前から存じ上げていたものの、実際に観覧させて頂くのは初めてです。わたくし、日本で英語劇ドットコムを立ち上げて以来、初めて英語劇ドットコムらしいことができたような気が・・・(お招き下さいましたひとつだプロダクションの皆さま、どうもありがとうございます!)
本日は前半2演目を鑑賞。まずは日本でも大変人気のある作家、ニール・サイモンの『Brighton Beach Memoirs』を立教大学の皆さまで。1937年のニューヨーク、一軒の家の中でくり広げられる家族たちの人間模様にしみじみ。

Brighton Beach Memoirs

Brighton Beach Memoirs


次にデヴィッド・ヘンリー・ホアン作『M. Butterfly』を一橋&津田塾大学の皆さまで。男とは、女とは? 支配する者とされる者、真実はどこにあるのか・・・美しくも非常に恐ろしく、ただ感服するばかりの傑作戯曲。
M. Butterfly

M. Butterfly


"大会"であるこの催しは"競技"でもあるようで、制限時間の中でセットの搬入、搬出までやり遂げなくてはならないルールがあります。上演までの間、閉じた緞帳の後ろで怒号と地響き、カナヅチの音。20分程度で舞台装置を立ててしまうのですからオドロキです。大会の伝統とはまったく無関係な大人の目から見ると"子供たちがかわいそう・・・怪我でもしたらどうするのか"と思ってしまいました。ほんとに余計な老婆心でございますが、作業の際は皆さま、ぜひお気をつけて。
しかし、演目ごとにこのセット入れ替えが入りますので、観客はゆっくり休憩をとることが可能。これなら一日で4演目全部鑑賞もいけそうです。将来、演劇留学にご興味のある方にはとてもいい勉強になりますね。戯曲を英語で読むといっても、なかなか進まないこともあるでしょうし、公演を見ながら楽しく吸収できます。毎年、どの団体さまもよい演目を選んでいらっしゃいますよ!
明日ファイナル、4演目すべての上演があります。埼玉県志木市のパルシティにて。連盟さまのページを貼っておきますね↓
http://fuessa2012.jimdo.com/ (四大学英語会連盟
関東エリアご在住の方はぜひ。当日券でも1400円、演目すべて観覧できますから大変リーズナブルです。

 

 

関東以外のエリアにご在住の方も、同じように高校や大学の英語劇部でご活動がんばっていらっしゃることと思います。もしかしたらご参考になるかも、ということで本日感じたことを少しメモしてみますね。

 

1)まずは会話する。
台本を手にしたら、いきなり声をはりあげて読み合わせをし、感情を込めて抑揚をつけていませんか? 感情や抑揚は最後の最後でいいのです。まずは相手役に耳を傾け、投げかけられたメッセージに対して反応を返しましょう。じゅうぶん役に近づくまで日常会話のトーンで読み合わせ、言葉のキャッチボールをして下さい。
納得できるまでトツトツと、でかまいません。拙訳『監督と俳優のコミュニケーション術』(ジョン・バダム他著、フィルムアート社)の『セールスマンの死』稽古のエピソードをぜひ参考にされて下さい。真実をつかむまで、ずーっと椅子に座り続けた名優の逸話が紹介されています。


2)関節の動きに注意する。
会話するトーンでしっかりコミュニケーションをとらずに急いで芝居を始めちゃったんだろうなぁ、と思う出演者さんの特徴のひとつは"ひざ、腰、首、手首などに不自然な動きが認められる"こと。クセになると、なかなか取れません。
たとえば「I like donuts.」と言う時、ドーナツが好きな気持ちを強調しようとして「donuts」と言いながらひざを曲げたり、前かがみになったり、腰を落としたりしていませんか? セリフのあちこちで、体がバウンス、バウンス。普段のおしゃべりでそのような上下運動をしている人がいるかというと、大きな疑問です。
また、長いセリフを言う時に両手、あるいは片手がパタパタ動く。リズムをとる。感情が高まる部分の語りで首や肩にきゅーっと力が入り、上半身が傾く。人によって、様々なクセがあります。自分では気づかないことも多いので、早いうちに専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。

 

3)単語の最後にくる子音の発音に注意する。
「t」や「d」「s」など、単語の最後にくる子音もきちんと出したいものですね。ただ、その音を出すために頑張りすぎて、せっかくの"言葉が伝えようとしているメッセージ"が吹き飛んでしまったら本末転倒です。
単語の最後の子音を出す時、大量に呼吸が漏れていないかチェック。息を送って音を出すことも必要ではありますが、それよりも口の中や周囲の形を整えて、音が響きやすくすることが大切です。
また、「ng」で終わる単語の語尾を「グッ!」と強く発音しないこと。例として「doing」の音声が聞けるページを貼りますので、確認されてみて下さい。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/ej3/24995/m0u/doing/(goo辞書)

 

・・・明日は早稲田、慶応大学の皆さまの発表を拝見。楽しみです!